北広島で味わう、心を込めたひと皿。レストランCielの物語
北海道・北広島。広い空と風に包まれた丘の上に、エーデルワイスファームのレストラン「Ciel(シエル)」はあります。
ここで提供されるのは、飾らないけれど確かに心に残る料理。派手な演出や流行ではなく、ひとつひとつの素材と真摯に向き合い、じっくりと時間をかけて仕上げる“ものづくりの姿勢”が、Cielの根底に流れています。
私たちは、1933年の創業以来、自然と人の営みを尊重しながら、誠実に食と向き合ってきました。便利さや効率ではなく、「食べる人の心に届く味」を追求する——それがCielという場所の原点です。
時間と手仕事が生み出す、ベーコン節®
私たちが独自に生み出した「ベーコン節®」は、エーデルワイスファームを象徴する逸品です。
氷温熟成させたベーコンをさらに数ヶ月かけて乾燥・熟成し、旨味を極限まで凝縮。0℃前後の環境で湿度と風の流れを調整しながら、約3〜4ヶ月のドライエイジングを行います。
熟成庫では、職人が一日に何度も製品に触れ、香りを確かめ、音に耳を澄ませます。わずかな変化を逃さず、自然のリズムと呼吸を合わせながら育てる——まさに“人と時間がつくる味”。
完成したベーコン節は、手のひらに乗せると軽く、削ると花のように舞います。香ばしい燻香と熟成香が立ち上がり、その香りの奥には、私たちの手のぬくもりが宿っています。
“調味料に頼らない”という哲学
エーデルワイスファームのハムやベーコンは、調味料で味を作るのではなく、素材の力そのものを引き出すことを信条としています。
使用する豚肉は、北海道産の新鮮なものと、ベーコンに最適なデンマーク産ランドレース種を厳選。約1ヶ月間の氷温熟成を経て、薪と炭でじっくり燻すことで、余計な水分を抜き、旨味を凝縮させます。
塩は最小限、香辛料も必要最低限。足すことよりも“引き算”で味を磨く。それは、素材に敬意を払い、自然が持つ美しさをそのまま食卓に届けたいという想いの表れです。
「食べ物は、自然と人の共同作品である」——この考えを胸に、私たちは日々の仕込みに向き合っています。
想いをのせたミネストローネ
Cielを代表する料理のひとつが、箸が立つほど濃厚なミネストローネです。
このスープには、ベーコン節®の深い旨味が溶け込み、野菜の甘みと重なって、まるで“出汁”のような余韻を生み出します。味付けはごく控えめで、野菜・水・そしてベーコン節だけで完成する自然の調和。スプーンを運ぶたびに、素材が奏でる音が身体に染み込むような感覚になります。
作り手の願いはシンプルです。「食べたあとに、ほっと息をつけるような料理を。」Cielの料理は、見た目の派手さではなく、心がほどけるような味わいを目指しています。
手から生まれるパンとスイーツ
Cielでは、パンもスイーツもすべて店内で手づくり。北海道産小麦を100%使用し、ショートニングやマーガリンを一切使わず、小麦・水・酵母だけで仕上げます。
毎朝、生地の状態を確かめながら焼き加減を微調整するブーランジェ。千葉と札幌で3年半の修行を積んだ職人が、焼き立ての香ばしさと食感を追求しています。
スイーツは、札幌の人気スイーツ店とウェディング会場で経験を積んだパティシェールが担当。季節のフルーツやチョコレートを用い、食材の個性を生かした見た目にも心にも残る一皿を作り出しています。
パンもスイーツも主役ではなく、料理を引き立てる脇役。しかし、その“脇役”にこそCielの誠実さが表れています。
作り手たちの願いと誇り
「手間を惜しまない」という言葉は、私たちにとって当たり前のこと。氷温熟成庫の温度を1℃変えるだけで風味が変わり、木材の乾燥具合で燻煙の香りが変わります。だからこそ、手で触れ、鼻で感じ、耳で聞きながら作り続けます。
便利な機械よりも人の感覚を信じたい。早さよりも正直さを大切にしたい。その積み重ねが「味わい」になると、私たちは知っています。
1933年の創業から受け継がれてきた“食への敬意”を次の世代へ。そして北広島という土地とともに、これからも誠実なものづくりを続けていきます。
レストランCielへのご案内
レストランCiel(シエル)は、北広島市輪厚にあるエーデルワイスファームの敷地内に併設されています。
札幌市内からは車で約30〜40分。公共交通機関をご利用の場合は、最寄りのバス停から徒歩約15分です。
窓の外には、季節ごとに表情を変える畑と森が広がり、時間の流れがゆっくりと感じられる場所。特別な日のお食事にも、静かに自分と向き合う時間にも。どうぞCielで、心に残るひと皿をお楽しみください。
ご予約・お問い合わせ:011-887-6985